小品

高速道路を走っていると、日陰の土手に咲く白い花が視界をかすめます。
その美しい印象が好きで描きました。

桜を写生に行ったはずなのに、水に映っている情景のほうを美しく感じて描きました。
場所は伊豆半島の松崎町です。
かつて初音会という展覧会があり、院展で受賞歴のある40歳以下の作家が出品を許されていましたが、
そこで賞をいただきました。

以前非常勤で勤めていた学校の中庭に植えられていた藤の花です。
この作品を描いた時点で学校は創立130年を越えており、
藤の樹は創立当時からあった、由緒あるものでした。
高齢のせいか花つきは見事と言えるほどではありませんが、
永い年月ずっと学校を見守りながら毎年花を咲かせ続けてきたのですね。

早春に香り立つ梅は、私が生まれ育った小諸市の「市の木」に制定されています。
この作品はバックに金泥を使い、ようよう暖かくなり始めた気候を表現しようとしています。

まるで枯れ枝が集まっていたかのようだったのに、春の暖かさが新芽をふくらませ、
みずみずしい葉を伸ばしてくる生命感にはわくわくします。
特にクレマチスにはそういった気持ちを感じさせられてきました。

まだ花の少ない春の時期に美しい黄色で咲き乱れる山吹は
大好きなモチーフのひとつです。

染井吉野とも山桜とも違う美しい桜を見つけ、写生しました。
花びらの形に特徴があり、開花と同時に伸びる葉も黄緑や赤色をしていておしゃれなので
とても気に入って何度も作品に描いたものです。
ところが元の樹は切り倒されてしまったらしく、２度と写生ができなくなりました。

華やかなラッパスイセンよりも日本水仙のたおやかな雰囲気が好きです。

朝は白く咲いたはずなのに午後の時間になるとピンク色に染まってゆく不思議な花を
知り合いのお宅で初めて目にして美しさに打たれました。
翌年の初夏に新芽を分けていただいて挿し木で育てたものが
そのうち花を咲かせ、毎年楽しむことができるようになったのですが、
酔芙蓉は一度根がつくとたいへん丈夫なもので、あっという間に大株になり
毎年大きく枝を伸ばす厄介者になってしまいました。

鉢植えの朝顔に飽き足らず苗を直接庭に植え、
伸び放題に繁茂したものを写生していた時期があります。
毎日新しい花が咲くのを追いかけながら描くのは楽しいものです。

「バラ色」といえばあでやかな深紅なのでしょうが、
バラ園に写生に出かけると、つい黄色の花に目がいってしまいます。
好きな色の花は比較的うまく表現できるようです。

公園などで山茶花の白い花を見かけると冬の到来を実感します。
その季節感が伝わるように、しかも寒々しい絵にならぬよう
気を配りました。