日本画を描くための画材は高額で、
趣味で描くにはお金がかかりすぎると思っている方が多いかもしれません。
確かにお金はかかります。
日本画の岩絵の具の中にはわずか15gで5,000円以上するものもありますし、
刷毛などは1本1万円以上がザラです。
そういった面を見聞きしているとなかなか手が出せなくなってしまうのも
当然だと思います。
何でも上を見ればキリがないですが、
日本画の画材に精通した方にアドバイスをもらえるなら、
これは安価な画材で間に合う、あるいは、ここは多少値が張っても
良いものを選んでおいた方が良い
といったメリハリをつけることができます。
私が講師をしている日本画教室では、
日本画を描くための画材は、写生をするための用具を除けば4〜5万円の初期費用で
本格的な用具が揃うよう工夫しています。
可能な限り敷居を低くして金銭的な負担を軽くするよう配慮しているため、
たとえば刷毛などはかなり安価なものを設定しており、使いにくいこともあります。
ですのでとりあえず日本画の世界に足を踏み入れてみて、
その上でこの先も描いてゆきたいと思うならば
いずれはきちんとした画用の刷毛を買ったほうが使いやすくて良いですよ と
アドバイスしています。
絵の具や膠といった消耗品はともかく、
大多数の用具はいちど買ってしまえば長年使えるものが多く、
ましてや家庭で飾れる程度のサイズの作品を描くのであれば
最初から多くの費用をかける必要もなく始めることができます。
絵の具についても、手軽に始めようと思えば最初は岩絵の具でなく
水干絵の具や顔彩(固形水彩のような絵の具)を使って日本画らしさを味わってみるという方法もあります。
そして次第に飽き足らなくなってきたら岩絵の具を使ってみてもよいでしょうね。
その後も水干絵の具は無駄にならず、岩絵の具と併用して使うことができます。
岩絵の具はもちろん高価なものもありますし、色によっては安価なものもあります。
前述したように、一般の住宅に飾りやすい10号くらいまでのサイズを描くのであれば、
そして無闇に厚塗りしなければ、娯楽に使うお小遣いほどのランニングコストで充分制作できます。
なお、チューブ入りで日本画用と銘打っている絵の具や前述した顔彩などは、
気楽に描くことができるものの、画材の性質としては水彩絵の具と大差ありません。
はがき絵や小サイズの色紙などをたしなむ程度なら簡便で良いですが、
岩絵の具の美しさを本格的に楽しむには力不足ではあります。
費用よりも問題になるのは、画材を購入できるお店が限られていることでしょう。
日本画の画材は通常の画材店でほとんど取り扱っていなかったり
置いてあったとしても希望のものを選択するほどの在庫を備えていなかったりするので
大都市の日本画画材専門店で購入する必要があります。
そういった専門店の多くは注文に応じて発送もしてくれますし、
店によってはネット販売もおこなっています。
ただ、自分が持っていない色の絵の具を買おうとしたときなどは実物を見ないと
選びにくいと思います。