日本画家 牧野伸英 公式サイト
初春
サイズ | 10号 |
千両の実を描きたくて、いっしょに花屋で竹の花生けを求めました。
松と梅を添えたのでおめでたい松竹梅が成立です。
バックの表現は岩絵の具でマチエールをつけてから金箔を張り、
洗い出したり重ね塗りしています。
噴泉濛々
サイズ | 40号 |
制作年 | 2006年 |
第61回春の院展入選 |
伊豆半島ではいくつもモチーフを得ましたがこれもそのひとつで、
温泉の井戸から濛々と湧き上がる湯気の動きを描きたいと思いました。
動きを表現するために何度も厚く絵の具を塗り重ねたため、
入選して会場の三越百貨店に展示されている最中に画面が真ん中から裂けてしまい、
修理するようにと美術院から連絡が入りました。
作品の表面から薄い和紙を貼り重ねて修復しましたが、紙が突っ張る力のほうが強く
どうにもなりませんでした。自分では気に入っている作品ですが、お蔵入りのひとつになっています。
谷を渡る風
サイズ | 150号変形 |
制作年 | 2005年 |
第90回秋の院展入選 |
仕事で伊豆に通うたびに車窓から見える民家の庭の光景が頭にこびりついていました。
洗濯物が気持ちよさそうに風に吹かれ、これを干したのはどんな人だろうか、
家族はどういう人たちなのだろうか、などと想像をめぐらせたものです。
しかしそういった文学的な想像ばかりでなく、絵画的・造形的に魅力を感じていたのももちろんです。
制作中はとても気持ちが高揚し、睡眠時間が数時間しかとれない日が続いても全く眠気を感じないほどでした。
この作品は院展で受賞できませんでしたが、あとあとになっても師匠や先輩方に
「あの洗濯物の作品で受賞したでしょう?」と勘違いされるほど良い評価を頂戴しました。
映
サイズ | 10号 |
制作年 | 2012年 |
第28回初音会展 初音賞受賞 |
桜を写生に行ったはずなのに、水に映っている情景のほうを美しく感じて描きました。
場所は伊豆半島の松崎町です。
かつて初音会という展覧会があり、院展で受賞歴のある40歳以下の作家が出品を許されていましたが、
そこで賞をいただきました。
陽光
サイズ | 40号 |
制作年 | 2005年 |
第60回春の院展 奨励賞受賞 |
院展で初めて賞をいただいた作品です。
自分を見失い、院展への出品をやめようかとさえ思っていた頃だったので、
この初受賞はたいへんな励みになりました。
描いたのは、以前勤めていた小学校の流し場です。
西日でカーテンに映る桜の枝の影がたいへん美しく、
いつか描こうと思っていたものでした。
その後カーテンは新しいものに取り換えられ、桜も切られてしまったので
この美しい光景は2度と見ることができなくなってしまいました。
川の流れ
サイズ | 150号変形 |
制作年 | 2003年 |
第88回秋の院展入選 |
川というよりは茅を描きたくて、相当写生をしたものでした。
さいたま市の川べりで写生していると、すぐ近くを音もなく蛇が通り過ぎてゆきました。