岩絵の具の魅力 その2

〜絵の具の持つ素材感〜

画材による素材感の違い

岩絵の具に限らず絵を描くための絵の具類には、それぞれの素材が持つ魅力があります。
水彩絵の具はみずみずしい表現が心地よいでしょうし、油絵の具ならばねっとりと重厚な表現がそれでしょうか。

素材としての岩絵の具の魅力はひと言で言えば、それが岩石からできていることによる表現効果でしょう。

岩絵の具は粒子の粗細を使い分ける

岩石を砕いて作られた岩絵の具は、粒子の細かさにより
粗いほうから5番程度〜13番、さらにもう1段階細かい「白(びゃく)」番というように分けられて販売されています。
粗い絵の具ほど色合いが濃く、細かいものは白っぽくなるため、色の違いを利用することができるとともに、
塗ったときの絵肌の違いも表現に加えることができます。

粗い岩絵の具を塗った画面はざらざらとしたマットな表情を見せてくれ、
また、絵の具としてのボリューム感もあることから、わざと盛り上がるように塗って
画面に凹凸を作ることもできます。

粒子の細かい絵の具を使うとざらざら感は出ず、水彩画のような淡泊な表現もできますが、
絵の具を溜め塗りしたり、たらし込みという技法を使うと独特の味わいを出すことができます。

岩絵の具を盛り上げて表現した画面

重ね塗り

塗った絵の具が乾いたあと、さらに違う色の絵の具を薄めに重ね塗りした場合は
下に塗った色が透けて見え、単に混色するよりも深みのある表情になります。
1回や2回でなく、何度も何度も薄く塗り重ねたり、
塗り重ねた上から濡れた布や刷毛でぬぐったりすることで
下塗りの絵の具をじわっと浮き上がらせたりする技法もあります。

このように、色の選択のみならず粒子の粗細を使い分けたり、さまざまな技法を用いて表現できる岩絵の具は
扱いを習得するまでに時間や根気が必要なものの、ひとたび魅入られると離れがたい魅力を持っています。