日本画・油絵に限らずさまざまな絵画を飾るとき、たいがいは額縁におさめて壁などに掛けます。
もちろん額に入れずそのまま壁に吊るしたりピンで留めるという方法も可能ですが、
ちょっと見栄えがするようにしたければ額装すると効果抜群ですね。作品を保護するための目的もあります。
日本画を描く場合、木製パネルというものに用紙を張り込んでおくことが多いので、パネルごと納まる額縁を用意します。
市販されている一般的な日本画用の額縁は、でき上がった作品をパネルのまま簡単に納めることができる構造に
なっています。
また、日本画用の額縁はバリエーションが少ないので、好みによっては油彩画用の額縁を使っても構いません。
木製パネルと油彩画のキャンバスの号数は共通ですし、厚みもほぼ同じだからです。
専門家用の額縁
一般の額縁店などであまり扱っていない専門家用の額縁として、
「まくり」用の額縁というものがあります。
これはパネルを納める造作になっておらず、パネルからはがしたようなペラペラの状態の作品を納めるものです。
プロの日本画家の作品は額縁店で「裏打ち」という補強をされた上で直に額縁に張り込まれるので、
そのような仕様の額縁が用意されているのです。
前回のコラムでも触れましたが、「麻紙ボード」という画材に描いた場合は、
ボードの厚みが数ミリしかありませんので、段ボールなどを何枚か使ってパネルと同じになるまで厚みを増やして
額縁に納めるとよいでしょう。
額縁をどう選ぶか
さて、どんな額縁を選んだら良いかという質問をよく受けます。
よっぽど個性的な作品、あるいは個性的な額縁を選ばなければたいがいのものは無難に合うはずなのですが、
少し気を配ったほうがよいのは、極端に白っぽい(明るい)作品に濃い色の額縁は作品に目がゆきにくく
なってしまいますし、その逆についても同じことが言えます。
いちばん確実なのは、実際の作品を額縁店に持ち込んで
予算を伝えて作品に合うものを見立ててもらうことです。
何種類かサンプルを出してもらい、あとは自分の好みで選ぶのが良いですね。
気に入らなければ遠慮せずにそう伝えましょう。
自分の作品を見られるのはちょっと恥ずかしいかもしれませんが、
額縁店の店員の方は毎日さまざまな作品を目にしているわけですし、
額が届いてみたら寸法が違っていて作品が入らなかったなどというミスも防げます。
額縁の価格は数千円から数万円までピンキリですが、とりあえずでしたら安いものでも一向に構いません。
しかし当然のことながら価格が高いものは、比較するとずっと見栄えが立派ですから、
展覧会に陳列するなど何かの機会があったら良いものを使ってみたらいかがでしょうか。
「自分の作品はそれほどたいしたものでないので安い額縁で構わない」なんて言わないでください。
「馬子にも衣装」と言うと失礼かもしれませんが、
額縁によって絵が見違えるほど素晴らしく見えるようになるものです。
それから、安いもので「仮縁(かりぶち)」という額縁があります。
これは主に公募展などに応募する際の大型作品などに付けるものですので、
自分で組み立てる必要がありますし前面にアクリルも入っていないので一般的にはお勧めできません。
おそらく小品用のサイズの用意もないと思います。
また、安い額縁は前面がガラスの場合がありますが、ほとんどは少々の追加料金でアクリル板に変更することができます。
ガラスは重いですし割れると危険なので、これはぜひアクリルに変えておくことをお勧めします。