写生のための七つ道具 後編

私の使っている写生用具をコラム2回に分けて解説しています。
今回は続きですので前編をご覧になりたい方はこちらへ

4、イス

立ったまま写生するのはしんどいですから、座れるときには座るようにしています。
写生用のイスは画材店で売られていますので、これまでさまざまなものを試してきました。

イス
現在主に使っているイス
イス
それぞれを折り畳んだ状態

写真に写っているものは現在のベストチョイスで、どれも軽くて持ち運びしやすいものです。
それぞれ折り畳んだ形の画像もあるのでおわかりかと思いますが、
いちばん上に写っているものは座面が広く、収納時に平たくなるのでスケッチブックなどと一緒にバッグに入れます。
下のものは最近よくあるタイプで、特に右下のものはコンパクトにおさまるので
荷物の量を減らしたいときに便利です。
写真には写っていませんが「モンベル」という登山用品メーカーの折り畳みイスも軽くて丈夫なのでお勧めです。

自宅の庭で写生するようなとき、あるいはクルマで写生地まで行けるときは、
大型で背もたれがあり、ひじかけに飲料カップが差せるキャンプ用のイスを使っています。
写生は苦行を強いるものではありませんから、できるだけ快適な環境を作るのがいいですしね。

5、画材バッグ

画材を持ち運ぶバッグもさまざまな種類・大きさの商品が画材店で売られています。
描画材はリュックなどに入れ、それと別にスケッチブックだけおさめるバッグを用意するなら
マチの少ない簡便なバッグで良いでしょうが、
全ての画材をまとめて入れたいのならマチが大きく、ポケットがいくつかついた
生地の厚いしっかりしたものを選ぶのが良いです。
私はその写生の目的や場所に応じて画材が多少違ってくるので
大きさや形状の違うバッグを何種類か用意してあります。

6、水彩絵の具

写生は色鉛筆を使うのを基本としますが、先に書いたように水彩絵の具も併用することがあります。
持ち運ぶことも多いので携帯用の固形透明水彩絵の具が便利です。
各社から販売されていますが、海外の有名メーカー(シュミンケやニュートンなど)は発色がたいへん美しく、
ハーフパンという形状の、差し替え可能な小型絵の具がバラ売りやセット商品で用意されているので、
私は自分が必要とする色に差し替えてオリジナルセットにして使っています。
筆は使いやすい日本画用のものを短く切って、ケースの中におさまるようにしてあります。
(写真左上)
後述する「水筆」も便利です。

水彩絵の具
コンパクトにおさまる透明水彩絵の具

写真の右側は以前使っていた携帯セットですが、
いちいちチューブから絵の具を出さないとならないので煩しく、今はほとんど使っていません。

セット商品に水入れが付属していない場合は下の写真のように別売りのものも便利です。
小型のペットボトルに水を入れても構わないし、
その場合は写真右下のような折り畳みできる筆洗を用意しておくと良いです。

水入れ
水入れと筆洗

旅先でごく簡単に色を塗りたいのなら「水筆」といって、樹脂の筆軸に水が入れられるものも便利です。
筆軸の胴を強く押さえると穂先に水が滲み出してくるようになっています。
ただ、広い面積を塗るには水が足りませんし、穂がナイロンなので繊細に描くことがしにくいのが欠点です。

7、フキサチーフ

描いた写生は色が擦れてしまわないように、描き終わってからは定着材を吹きかけておきます。
フキサチーフというものがそれですが、スプレー式になっていて
いくつかの大きさのものが市販されています。
自宅に帰ってから吹きかければ良いですが、場合によっては現地で必要になることもあるので、
私は持ち歩き用として小型のものも用意してあります。

その他必要なもの

水筒や、つばのある帽子は必需品ですし、冬は手袋(指先の出るもの)と使い捨てカイロが欠かせません。
夏は虫よけスプレーを持ってゆきますが、自宅で描くときは自分の周囲に蚊取り線香を3つほど焚いてガードです。
そのほかウエットティッシュや、カロリーメイトのような軽食があると状況の変化に対応しやすいです。

移り変わる風景などを素早く捉えるためにパステルを使うこともありますが、
それは別の機会にご紹介いたします。