このサイトのページ左上に配置している赤い四角のマークですが、
これは私が自分で彫った「落款(らっかん)」用のハンコです。
落款というのは日本画や書における独特の用語で、作品に入れる署名と印(ハンコ)のことです。
天狼はシリウスのこと
落款や印についてはあらためて述べますが、ここで印に彫ってある文字は「天狼」です。
天狼はおおいぬ座α星シリウスの別名で、夜空に見える恒星の中でもっとも明るい星なのです。
地球からの距離は8.6光年、つまり1秒間に地球を7周半回ることのできる光の早さでも8年半以上かかる距離ですが、
宇宙に存在する他の星々に比べると、お隣さんと言ってもいいほど近いところにあります。
白色矮星という不思議な星
ご存知のようにシリウスは冬の大三角をなす星のひとつですね。
そしてその実態は大小ふたつの星が対を成している連星です。
我々の恒星である太陽は単独の星ですが、宇宙全体でみると連星はかなり一般的なんだそうです。
そのシリウス連星系の主星であるシリウスAに対して伴星であるシリウスBは
「白色矮星」という、星としての寿命を終えた状態にあり、
自分自身の重力によって限界まで収縮しているため、
地球ほどの大きさしかないにも関わらず太陽と同じくらいの質量を持っています。
つまり非常に高密度な天体で、角砂糖ひとつの体積あたりに換算すると1トンを越える重さがあるのです。
主星であるシリウスAもまた10億年後には寿命を迎え、
シリウスBと同じ運命をたどって白色矮星になってしまうそうです。
宇宙や天文学が好きな私は、冬の夜空にひときわ明るく輝く天狼に自分の心意気を込めて印に彫ってみました。
なお、この印の文字で「天」のうち「大」の部分の形を☆にしてあることにお気付きでしょうか。
そんな遊びができるのも篆刻の面白さです。