筆も種類がいっぱい

筆の種類

日本画で使う筆類は、実に多様な種類があります。
大きく分けると、穂の断面が丸く描写や彩色に使う丸筆、穂を口金で平たく締めてある平筆、
広い面積を塗るための刷毛に分かれます。

丸筆はさらに細分化され、彩色筆(さいしきふで)、則妙筆(そくみょうふで)、削用筆(さくようふで)とか、
特に穂が細く線描きに使われる面相筆(めんそうふで)や蒔絵筆(まきえふで)など、
用途に応じていくつもの種類を使い分けるのです。

筆類
上から「蒔絵筆」「面相筆」「則妙筆」
「如水」「隈取」「平筆

面白いものでは、丸筆を数本並べて接着した連筆(れんぴつ)というものがあり、
絵の具をたっぷり含ませて広く塗ってゆくときに使います。
(下の画像)

連筆

筆と区別されているものに刷毛があり、ペンキ塗りの刷毛と同じように広い面積を塗るときに使います。
刷毛は通常色を塗るために用意されていますが、「唐刷毛(からばけ)」は
画面の絵の具をぼかす専用の道具です。
これについてはいずれコラムでお話しようと思います。

刷毛
さまざまな幅の絵刷毛
いちばん下が唐刷毛

筆の寿命

日本画を描いている方でも意外に思うかもしれませんが、
それぞれの筆類の寿命はかなり違います。
たとえば面相筆や則妙筆などは、使い方によっては作品数枚を描くとすり減って先が利かなくなりますし、
本来線描のために作られた面相筆を、粒子の粗い岩絵の具を使用して描写に使ったりすればあっという間にダメになります。
反面、平筆や刷毛類などはていねいに扱えば数十年使い続けることができます。

良い筆とは

多くの筆の原料は羊毛ですが、イタチやタヌキの毛を芯に使うなどして用途によって毛の腰を出すように工夫されています。
良くできた筆は画面に触れたときに絵の具の「おり」が良く、
それ以上に大切なことは穂先の利きが良く、穂に太さがあっても細かい描写がしやすく、
「腰がある」と表現されるように画面から筆を持ち上げたときに穂先が整い戻ることです。
そうでないと、筆を上げるたびに穂先を整えてやらないとならず、面倒ですね。
もちろんどんな筆でも描くことはできますが、良い筆を使うと、効率良く狙った表現ができます。
そういった理由から、書の筆を流用することは使いにくいだけのことですので、
少々高価であったとしてもまずは日本画専用として作られた筆を使うことをお勧めします。

筆の原料となる毛は当然獣毛であり、毛皮等の国際取引について定めたワシントン条約の制限にかかる物品です。
そのため最近では、製造業者はさまざまに苦労しながら原料を仕入れようとするのですが、
良質なものは容易に手に入らないようです。