日本画家 牧野伸英 公式サイト
大島桜(素描)
仕事で頻繁に通う伊豆半島ではさまざまな種類の桜を楽しむことができます。
時期になると周囲の山がピンクや白に染まり、まるで桃源郷のようです。
大島桜もよく見かけるのですが、写生に時間がかかるのでなかなか描くチャンスがありませんでした。
花満つ
サイズ | 10号 |
限られた時間で満開の椿の花を描くか、花びらの散った地面を描くかの選択を迫られ、
この日は地面を写生しました。
椿といっても品種によっては花ごと落ちず、ハラハラと散るものもあるそうです。
海へ続く道
サイズ | 30号 |
制作年 | 2009年 |
第18回無名会展 |
伊豆の入田浜を描いたものです。
人が歩いた跡が自然と道になり、その白い美しさが海へ誘う感じに魅かれました。
私は海のない長野県育ちなので、海を目にしたときの感慨はひとしおなのです。
海の見える街へ
サイズ | 150号変形 |
制作年 | 2008年 |
第93回秋の院展 無鑑査出品 |
初めての無鑑査出品でした。
無鑑査というのは審査を受けずに無条件で展覧会に陳列してもらえる特典で、
さまざまな条件によって与えられるものですが、
このときは前年の春の院展で春季展賞を受賞したことから無鑑査になりました。
熱海の港を見下ろす場所で写生をし、自転車で海に走り降りてゆくときの気持ちを表現しました。
噴泉濛々
サイズ | 40号 |
制作年 | 2006年 |
第61回春の院展入選 |
伊豆半島ではいくつもモチーフを得ましたがこれもそのひとつで、
温泉の井戸から濛々と湧き上がる湯気の動きを描きたいと思いました。
動きを表現するために何度も厚く絵の具を塗り重ねたため、
入選して会場の三越百貨店に展示されている最中に画面が真ん中から裂けてしまい、
修理するようにと美術院から連絡が入りました。
作品の表面から薄い和紙を貼り重ねて修復しましたが、紙が突っ張る力のほうが強く
どうにもなりませんでした。自分では気に入っている作品ですが、お蔵入りのひとつになっています。
谷を渡る風
サイズ | 150号変形 |
制作年 | 2005年 |
第90回秋の院展入選 |
仕事で伊豆に通うたびに車窓から見える民家の庭の光景が頭にこびりついていました。
洗濯物が気持ちよさそうに風に吹かれ、これを干したのはどんな人だろうか、
家族はどういう人たちなのだろうか、などと想像をめぐらせたものです。
しかしそういった文学的な想像ばかりでなく、絵画的・造形的に魅力を感じていたのももちろんです。
制作中はとても気持ちが高揚し、睡眠時間が数時間しかとれない日が続いても全く眠気を感じないほどでした。
この作品は院展で受賞できませんでしたが、あとあとになっても師匠や先輩方に
「あの洗濯物の作品で受賞したでしょう?」と勘違いされるほど良い評価を頂戴しました。
映
サイズ | 10号 |
制作年 | 2012年 |
第28回初音会展 初音賞受賞 |
桜を写生に行ったはずなのに、水に映っている情景のほうを美しく感じて描きました。
場所は伊豆半島の松崎町です。
かつて初音会という展覧会があり、院展で受賞歴のある40歳以下の作家が出品を許されていましたが、
そこで賞をいただきました。