上原美術館 はじめての日本画体験

伊豆には上原美術館という、近代絵画と仏教美術品を展示している公益財団法人の美術館があり、
美術館が運営する日本画教室の講師を私が務めています。

上原美術館のホームページはこちらからご覧いただけます。

隔週でおこなわれる通常の日本画教室とは別にさまざまな単発講座も開かれますが、
特に毎年夏休みには小学生〜高校生を対象とした各種イベントがおこなわれ、
そのひとつとして今年(2019年)も日本画体験教室が開催されました。

この単発講座のねらいは、子供たちがふだん触れることのない日本画の本格的な画材を使って絵を描くことで、
初めて体験する制作を楽しみ、絵画表現や日本画に対する興味関心を高めることにあります。
ほかの美術館もさまざまな夏休み講座がありますが、
上原美術館のように専門家の使うものと同じ岩絵の具を自由に使える機会はなかなかないと思います。
公益財団法人に求められる務めのひとつとして社会に対する貢献があり、
こういった教育普及活動は将来の日本文化を支え発展させてゆくためにたいへん意義のあることだと思います。

さて、今年開かれた講座は次のような内容で実施しました。

受講料は無料ですが、事前に申し込みが必要です。
当日は小学校1年生から中学生までの子供たちが参加してくれました。

初めに日本画や岩絵の具について簡単に説明をし、岩絵の具の原料になる鉱石や鉱物も見せると
子供たちの関心が高まってくるのを感じます。

次に、今日おこなう制作のやり方を実演してみせます。
今回は「寸松庵(すんしょうあん)」という、ミニサイズの色紙に描きました。
自由に描きたい子は自分の描きたい絵を描いて構わないのですが、
それはハードルが高いと感じる場合もあるでしょうから、あらかじめプリントした作品
(上原美術館が所蔵していて、現在展示中の巨匠作品を選んであります)
を掲示し、さらにその絵柄を線で描き起こした下絵を用意してあります。
その下絵をカーボン紙で色紙に転写すれば下描きに手間をとられずにさっそく絵の具を塗れますね。
オリジナル作品を考えて描こうという内容ではなく、今回はあくまで日本画の岩絵の具に触れてみる体験学習ですから、
これでよいわけです。

下絵
用意した下絵と寸松庵色紙

下描きができたらいよいよ岩絵の具を塗ります。
テーブルに並べられた多くの岩絵の具から使いたい色を自由に選び、絵皿にとります。
もちろん膠(にかわ)を加えないと画面に接着しませんから、それも自分でやってもらいます。
膠と絵の具を指で混ぜて見せると、その行為に新鮮さを感じる子もいるようです。

岩絵の具を選ぶ
岩絵の具を自由に選んで絵皿にとる
岩絵の具を溶く
自分で膠を加えて練る

筆は彩色筆、面相筆、平筆の3種類を用意してあり、どれでも好きなように使っていよいよ色塗り開始です。

色紙は2枚用意してあります。1枚をじっくり描く子、1時間ほどで2枚描きあげてしまう子などさまざまですが、
描き上げた作品を誇らしげに持ち帰る表情を見ると、喜んでもらえて良かったなと安心します。

彩色
岩絵の具で彩色する

多くの美術館がそうであるように、上原美術館も高校生までは展示室への入場が無料ですので、それも告知します。
用意した下絵を使って描いた場合は、自分が描いた作品の実物展示を観ることができるので
子供たちにとってはめったに体験できない思い出の夏になったことでしょう。

色紙01
色紙02

なお、私と上原美術館が関わるようになった経緯は、当サイトのコラム
「伊豆との縁」に記載しています。